20XX年2月11日
夫の息子への暴言は続いている。
勉強を教える際に、「字が汚い」「勘が悪い」「アホだね」「ひどい」「頭が悪い」等々のネガティブワードが並ぶ。
言い方も、愛を感じるような柔らかさは微塵もなく、口調が冷たく表情も怖いので、勉強終了後、息子は私のところにやって来て小声で言う。
「パパの言い方が嫌だ。
怖い。
耐えられない。」
すごく気持ちがわかる。息子の気持ちがわかり過ぎて心が痛くなる。
朝の勉強を終えてから、夫は息子をボクシングに連れて行った。
今日はいつものボクシングレッスンではなく、何かイベントがあるようだ。
息子よりももっと小さな子達を沢山呼んで、体験レッスンをさせるようなイベントらしい。
息子はその手伝いをさせられ、バイト代として3000円もらったそうだ。
イベント後の夕方、夫と息子は焼肉を食べて帰宅して来た。
息子が落ち込んだ様子なので、どうしたのか聞くと、
「今からすぐ勉強しろって。。。」と疲れた顔を見せる。
私が勉強を教え始めると、傍で様子を窺っていた夫が来て言った。
「ママ、適当にやらないで」
算数の問題の解き方を説明していたのだが、私の解き方が気に食わなかったようだ。
そう言っておもむろに、夫が息子に別の解き方を説明し始めた。
息子は友人と、夜20時からオンラインでゲームを一緒にやる約束をしていたが、その時点で19:45頃だった。
20時になっても、夫の算数の解き方の説明がなかなか終わらない。
息子が焦り、イライラしているのを感じる。
そこからまた、さらに30分ほど経ち、息子友人のゲーム時間は終了してしまった。
息子は、友人との約束を守れず、一緒にゲームが出来なかった。
更に、最終的には、夫が教えた算数の解き方は、私と同じ解き方だったのだ。
息子は同じ解き方を二回繰り返し聞いただけだった。
息子は怒り、「無駄な時間だった!」と夫に訴え、泣いた。
夫は謝ることもなく、憮然とした様子で「泣くなら、もう寝ろよ」と突き放しただけだった。
その後、私がお風呂に入っていると、息子がやって来て言った。
「ボクシングも勉強も頑張ったのに、何もいいことがない。
楽しくない。
もう何もしたくない。
学校も行きたくない」
夫のやりたいことに毎日付き合わされて、振り回されている息子。
私から見て、「息子の為の行動」だと思えないのだ。
全てのやる気が失せ、無気力状態の息子を前に、なんと声をかけていいのかわからなかった。
しかし、息子には何か決心したような表情があった。
お風呂から出て、息子は夫を真っ直ぐと見据えて言ったのだ。
「もう受験しない」
落ち着いた様子に見えたが、息子は怒りと悲しみの混ざった表情で、壁に文字を書いたのだ。
「明日学校行かない」
その後、ベッドで私と楽しい話を沢山しながら、一緒にアイスを食べた。
アイスを食べて、息子の表情は緩んできた。
「ママは大好き。
信用してる、パパよりも。
パパは信頼してない。」
と言って眠った。
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