洗脳の始まり

20XX年2月15日

夜10時に夫が一人で外出し、翌朝4時に帰宅した。

これまでも週に二回ほど、そういうことがあった。

ここ最近の夫とMさんの行動を見ていると、夫の夜中の外出も怪しく感じてくるようになった

数日後の土曜日、私の国家試験受験が終わったので(昨年に引き続き、受験した。結果はダメだった)、お疲れ会という名目で、義父母が我が家に遊びに来てくれた。

義父母は、ずっと私と夫のいざこざの相談にのってくれ、サポートしてきてくれていたので、今回も様子を見に来るという目的でもあった。

鍋料理をつつきながら、皆で談笑していると、ずっと黙っていた夫が突然、口火を切った。

「ママって、彼氏がいるでしょ?」

・・・・ハ??

それは、おめーだろ。。

咄嗟になんて言っていいかわからなかったが、その場にいた義父母、息子はびっくりしたように凍り付いていた。

私「そんなわけないでしょ。何言ってるの?」

夫「証拠もある!」

義母は何とかその場を丸く収めようと、

「いないって言ってるんだから、いないでしょ。

もうやめなさい。」と夫を諫める。

夫は義母の言葉は無視して、

「去年、彼氏と一緒に旅行行ったでしょ。」と私に投げかけてくる。

意味がわからない。

何のことを言っているのか、全くわからないのだ。

とにかく私は、その場に凍り付いている息子のことが心配だった。

夫はようやく息子に気付き、「お風呂に入って来て」と息子を部屋から出した。

義母が「息子がいる前で、なんて酷いことを、、、、!」と夫に怒った。

すると夫は、

「息子には、今日大事な話をするから、お風呂に入ったり、ゲームしてていいと予め言ってある。」と言った。

私は夫が何の話をしているのか、全くわからなくて混乱した。

去年?去年、どっかに行ったっけ、、、?

記憶を呼び起こす。

一昨年の年末に、夫から突然離婚したいと言われてから、家計費を払ってくれなくなったので、国家試験の勉強中だったが中断し、昨年の3月から仕事に就いた。

昨年は、夫の暴行に怯え、仕事に没頭していた。

彼氏もいないし、当然、旅行なんて行っていない。

思い起こしている内に、もしかして、昨年の秋口に出張に行ったけど、、、、そのことか?

家を離れたのはこの時だけだから、この出張のことだと思い当たった。

私「去年、出張に行ったけど、そのこと?」

夫「男と一緒にいた。領収書とか証拠もある。

確かに出張は、上司の男性と行った。

しかし、、、、それが彼氏ということになるか、、、?

私がそのことを言うと、義母も疑問に思ったようで、

「じゃあ、その領収書とか見せてよ。」と言った。

しかし夫は、「裁判をするから、そこで見せる」と言って、見せてくれなかった。

裁判、、、、?

咄嗟に、これまでパズルのようにバラバラだったピースが、ようやく繋がり、一つの出来事が浮かび上がった。

夫は、昨年夏頃に行われた離婚調停で、調停員から「そんなことで離婚は出来ない」と諫められた。

調停員は「そんなことで離婚していたら、世の中の夫婦は全員離婚しているだろうね」と言っていた。

私も離婚に応じなかったので、調停は不成立で終わった。

しかし夫は、どうしても、どうしても!離婚したかったのだ。

その後、夫は私に、GPSや盗聴盗撮、私の携帯の盗み見、LINEやGoogleアカウントの不正アクセスを行い、ずっと離婚事由を探していたのだ。

何か、離婚出来るような私の落ち度がないか、ずっと昨年の調停後から、私を見張り、探っていたのだ。

ようやく、わかった。

私のベッドやリビングに仕込まれた盗撮カメラを見つけたとき、鞄の中にGPSを見つけたとき、私のGoogleにアクセスしていたことを知ったとき、いつもいつも、わからなかった。

https://shingekinomorao.com/%e6%81%90%e6%80%96/

なぜ、何のために、夫がそんなことをしているのか。

それが、この日の出来事で、ようやく合点がいったのだ。

私の落ち度=離婚事由を探していたんだね。

それが、昨年行った上司との出張だったということか。

まぁ、いい。

もう、離婚でいいよ。裁判なんてしなくても。

複雑な想いが駆け巡るが、何よりも、息子のことが心配になった。

息子は今、どんな気持ちでいるのか。

息子に話して、誤解を解きたい。

気まずい空気の中、義父母は帰って行った。

息子と話したいが、夫ががっちり息子の傍を離れない。

私は隣室で、息子が一人になる機会を狙うしかなかった。

しかし夜も更けてきており、息子はいつものように夫と一緒にベッドに入ってしまった。

「ママって、、、、彼氏がいるの?」と夫に聞いている声が聞こえた。

急いで部屋に駆けつけ、私は息子に言った。

「いないよ!!」

すると夫が、

それは、裁判が決めること」と言って、話を終わらせた。

私は今日も、眠れない一晩を過ごすしかなかった。

 

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