サイコパスの恐怖

20XX年5月30日

小学校最後の運動会が終わり、明日は振替休日(月曜日)である。

友人家族のVくんパパが、数名の子ども達を潮干狩りに連れて行ってくれることになった。

大抵の大人は普通に仕事がある月曜日なので、振替休日の子ども達をどうすればいいか困る家族は多く、Vくんパパの有難い提案に皆喜んだ。

Vくんパパはわざわざ休みを取ってくれて、子ども達を車で連れて行ってくれることになっている。

しかし、、、、完全リモートで常に家にいるパパも一緒に行くと言い出したそうだ。

Vくんママからの話で、そのことを知った。

うーん、リモートってそんなに遊びに行っていいのかな?それとも、仕事を休むのかな、、、、?

すると、私のところに息子がそっとやって来て話しかけた。

息子「明日さ、皆で潮干狩り行くじゃない?

僕とAくん(Mさんの息子)は、その後トランポリン?があるアスレチックに行くんだって。

他の子は、潮干狩りが終わったら帰るんだって。。。

でね、、、、その間ね、パパとMさんは他の場所で待ってるんだって。。。。

私「え、、、、、。そうなんだ。」

息子の微妙な表情から、言わんとすることがよく伝わってくる。

気になるよね、普通。

自分の父親が、友人のお母さんと、長時間ずっと一緒に、自分達が見えない場所で、一体何をしてるんだろうって。

そして、他の子達は皆、潮干狩りが終わったら帰るのに、なぜ自分達二人だけは更にアスレチックに行くことになったのだろうって。

息子の話の様子から、自分からアスレチックに行きたがったという話ではないことは分かる。

しかし、息子が抱く疑問にどう答えていいのかわからなかった。

想像できることはあるが、確信もなければ真実もわからない。

中途半端な声掛けは出来ないと思った。

私「そっか、、、、。どこで待ってるんだろうね。

アスレチックフィールドって、結構時間かかるけどね。

でも、楽しそうじゃない?アスレチック!楽しんできてね」

息子の疑問や戸惑いをちゃんと受け取ったものの、かけてあげる言葉が見つからなかった。

当たり障りのない返答をするしかなかった。

そして、翌日の潮干狩り⇒アスレチックの日。

息子と夫は朝早く出かけ、夜11時頃に帰宅した。

もちろん夕飯は、夫と息子、Mさんと息子Aと4人で食べて帰ってきた

もしも、私が夫と離婚をしているのであれば、まだあり得る状況なのかもしれない。

交際相手とその息子を連れて、レジャーや食事に行くこともあるのかもしれない。

でも、私達はまだ離婚していないのだ。

これがどれくらい異常な状況であるのか、子ども達はどう理解しているのか。

子ども達は、どう感じているのか。

少しでも、夫とMさんは考えたことがあるのだろうか。

なぜ二人は、そんなにも自分勝手でいられるのだろうか。

なぜ子ども達よりも自分の楽しみを優先出来るのであろうか。

それなら、もう息子のことは、全て私に任せてほしい。

しかし、夫は完全リモートなので、ほぼ家にいることで、息子の身の回りのこと(食事や洗濯、塾の送迎、スケジュール管理など)を私が仕事から帰る前に全てやってしまう。

そして、夫が勝手に決めた息子のスケジュールを私に共有してくれないので、完全に家族の生活から孤立させられてしまったのだ。

どうすれば、息子との生活を取り戻せるのか、だんだんとわからなくなった。

これが、夫が完全にサイコパスだとわかった瞬間だった。

じわじわと、私のことを家族の生活から孤立させるように、この二年間夫が動いてきたのだ。

気づいた時には、もう遅かったとしか言いようがない。

夫が息子の世話を全てやるようになったのは、たったこの二年間だけである。

それまでは、私が全てをやってきた。

食事、掃除、洗濯、息子の習い事の管理や送迎など何もかも全て、子どもが小さかった時の方が手がかかった。

これまでは、私も仕事をしながらも全て担ってきたのに、たったこの二年間、夫がリモートで息子の世話をするようになっただけに過ぎない。

気づいた時には、息子とのコミュニケーションを奪われ、私の家に、自分の居場所がなくなった。

こんなにも悲しい思いをさせられたのに、夫は人を殺めたわけではないから決定的な裁きを受けるわけではない。

サイコパスの怖さって、こういうことなんだと、すごく身に沁みてわかった。

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