クリスマス

20XX年12月25日 

夫とママ友は、読んだ本についての感想を伝えあったり、日々のちょっとした出来事をメッセンジャーで多数やり取りしていた。

そのやり取りのスクショが、Googleフォトに沢山保存されていた。

そういえば、夫は数か月前からやたらに本を読んでいる

次々と新しい本が家に転がっているので、図書館で借りているのかな?と思っていたけど。

ママ友と貸し借りしていたんだね。

それにしても、ママ友のメールのポエム感にどうしても目がいってしまう。

「天使の鳴き声ではなくて、天使のささやき、拍手って表現するみたい。

こんな表現をするのはフランス人かなと思ってオリジナル探したけど出てこなかった。

日本語だけなのかな。

夏目漱石に教えてあげたい

身の毛がよだつ、ってこういうことなんだね。

私も夏目漱石に教えてやりたいよ。

一体、何の本を読んでの感想だか知らんが、人の夫に送るメールか?

そして、やたらに押されているスヌーピーのスタンプが脳裏に残る。。

その他にもスクショが出てくる、出てくる。。。。

高級ワインショップの夫のマイページに登録された宛先には、ナント!そのママ友の住所が。

夫はママ友に、ワインを贈ってるんか。。

クリスマスだからか?

わいが飲んでるのは、いつも安ワインだがな。

奇しくも、その日はクリスマスだったのだ。

Googleフォトには、まだまだスクショの保存が増えていく。

新たに保存された写真は、手作りのクリスマスケーキに、ママ友からのクリスマスカードだった。

「いつも、たくさんの幸せをありがとう」

そのママ友からのカードには、そう書かれていた。

手作りケーキに添えられて。

私に突然離婚を言い渡した夫は、他の女性から「いつもありがとう」と感謝されていたのだ。

こんな驚く事実が、かつてあっただろうか。

その日初めて、私は息子の前で泣いた。

息子の横に座り、息子に伝えた私の言葉は、

泣いてしまってごめんね。

パパがママのことを怒っていて、離婚したいって言っているけど。

でも、大丈夫。ママはそうならないように、頑張るね」

やっと絞り出せた言葉は、それだけだった。

※クリスマスのプレゼント。

家族になっても、誕生日やクリスマスにはプレゼントを贈りたい派である私は、毎年プレゼントを準備していた。

でも、夫からプレゼントを準備されたことはない。

だから、自分の分も、夫の分も、息子の分も、プレゼントはいつも私が用意した。

安い物でもいいから、やっぱり相手を想って選んだものは、貰えたら嬉しいですよね。

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