20XX年1月10日
夕飯時、息子は大好きなハンバーグと白飯、スープをモリモリ食べてくれていた。
しかし、付け合わせのブロッコリーだけ手をつけていなかった。
と言っても、息子はブロッコリーが嫌いなわけではない。
大好きなものから先に食べてしまうのだ。
食事中、息子はご機嫌で、「今日ね、こんなことがあってね、」と、その日あった出来事を話そうとしていたが、夫が大きな怖い声で言った。
「三角食べしてね」
なんとも威圧的な言葉。
会話を遮られた息子は少し驚いた様子で、「え?」と言ってから、「うん、わかった」と答え、また先ほど話出そうとしていた話題を続けようとした。
すると夫が再び、、、
「三角食べしてね!」
息子の会話を再び遮ったのだ。
息子は戸惑いながらも、「・・・うん」と言って、気を取り直してから、また話出そうとする。
え、、、デジャヴ?
なんと、この繰り返しを更にもう一回繰り返したのだ。
とうとう息子は、「話そうとしてるのに、、、」と訴えると、夫は激怒した。
「三角食べしろよ!!
人の話を聞けよ!!!!!
三角食べしろって言ってんだろ!!!!!!!!」
と夫は怒鳴った。
息子は泣きじゃくった。
夫は、「じゃあ、もういいよ。ご飯、おしまいにして。」と冷たく言い放った。
息子は結局、ブロッコリーを残した。
息子が「明日たべる」と言うので、私は了承した。
すると、既にテーブルを離れて、ソファーに座っていた夫がズカズカと近寄ってきた。
「ブロッコリー、食え!!!!いつも残すなと言ってるだろう!!!」
と怒鳴ったのだ。更に、、、
「絶対に!食え!!!!」
夫は息子の前に立ちはだかった。
縦にも横にも大きな男が前に立ちはだかる怖さ。
経験した人にしかわからない恐怖だ。
当然息子は怖がり、「明日食べるから、、、、」と小さな声で言って泣いた。
夫は許さず、怒り続けた。
「ダメだ!!!食え!!!!!」
怒り狂う夫を前に、息子は「ごめんなさい、ごめんなさい」と言いながら、ブロッコリーを食べた。
余りの怖さに、私もこの時、夫を止めることが出来なかった。
息子の心を守りきることが出来なかった。
ブロッコリーを食べた息子を抱きしめることしか出来なかった。
このことは、時間が経っても色褪せることのない、思い出す度に心がキリキリするほど心残りになっている出来事の一つだ。
三角食べは、人の人生にとって、そんなに大事なことなのか?
私たち親が息子の話に耳を傾けること以上に、大切なことなんてあるのだろうか。
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